恐慌の罠―なぜ政策を間違えつづけるのか
最近、古本屋さんで良書を探すのがマイブームです。あちこちの書評を見ながら格安で手に入ったときは結構うれしいです。今回は、ノーベル経済学賞受賞クルーグマンの「恐慌の罠」という本を読みました。収録してある論文は1998年から2002年頃に書かれたものですが、世界的な経済危機の今だからこそ、おもしろい本だと思います。
日本の自由民主党は、「自由」でもなければ、「民主」でもない。それどころか、厳密には欧米流の「党」ですらない。それは、ボスが操る政治マシーンの連合体のようなものである。
クルーグマンが10年前から訴えていましたが、誰も変えようとしませんでした。右肩上がりの経済成長に支えられて鍛えられてこなかった政治屋さんの制度の構造上の欠陥が、下降曲線を描き始めた現在になって露呈しています。
残念ですが、今まで通りやっていけると判断している自民党の旧世代の長老の方々だけです。必至で椅子にしがみ付いている姿は見るも無残です。構造が変化するときには、変化が必須です。旧世代のやり方を強要する方には退場してもらうしかありません。若手の議員さんも冷ややかな目で見ているのでは無いでしょうか。
民主党も同様の構造が見て取れます。長老が自分と似た権力構造を持っいる自民党体制が崩れていくの笑っていられるのでしょうか。与党になったとき空中分解する可能性は否定できないのではないと思います。
面白い若手議員さんもいました。神奈川県の山内議員という人です。JICA上がりの議員さんです。奇遇ですが私と同時期にクルーグマンの本を読まれていたみたいです。その山内議員がブログでこのように述べていました。
・・・実は先週若手議員の勉強会で、自民党のあり方について議論していたとき、自民党は部族連合みたいなものだ。派閥という部族が寄せ集まって、部族長(=派閥の長)や長老が恣意的に意思決定している、ゆるやかな部族連合だ」と私が発言したところ、参加者の大方の賛同を得ました。
自民党という部族連合体を、近代国家にするのが、われわれ若い世代の使命です。政党としてのガバナンスが欠如している状態を抜本的に見直し、政策立案能力、政策コミュニケーション能力をつける必要があります。
総裁選のあり方、候補者のリクルートの仕組み、シンクタンク機能の強化、マニフェスト策定プロセスの確立、ICTによる国民・党員への働きかけ等、近代政党にふさわしい組織・制度を整備する必要があります。
利害関係で寄せ集まった“ごった煮”の部族連合的な政党から脱却するには、党としてのビジョンや理念を確立・明確化して打ち出し、それを具体化させるための手足となる組織・体制を整えることが大切です。近代政党への脱皮が、総選挙に勝てる体制づくりの第一歩だと思います。
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/
私もまったくその通りだと思います。今までに無い対応を求められるとき参考になるものは経験ではありません。リスクを負って試行錯誤しかないのです。このリスクを叩き、何もしないようでは間違いなく沈没です。
前例は日本のバブル崩壊にありました。ここから学んだものは何だったのでしょうか。米国すら学びきれていません。歴史は繰り返します。2002年1月に刷られたクルーグマンの「恐慌の罠」は、以前の日本バブル崩壊から学んだ結果をきれいにまとめています。
今回の危機は事前に対応する策は講じれたはずのものでした。できなかったのは、歪な圧力のかかった政権構造上の欠陥としかいいようがありません。一生懸命みな働いてきたことには変わりありません。ミスリードによる方向性が違っていれば、いくら努力しても実はなりません。
10年前は彼らは証券化ビジネスを謳歌し、開放路線により玉石混合の外資を招きいれ、あぐらをかいてきました。まるまると太った長老は危機対応能力など無いに等しいと思います。今から慌てて勉強会など付け焼刃にもほどがあります。
やはり政権交代というより世代交代が求められていると思います。彼らは明らかに能力不足だと思います。我々、有権者もこういった政治屋さんにNOを突きつけるだけの判断能力をつけなければなりません。優秀な若い人たちが、押さえ込まれて耐え忍んでいる姿が目に浮かびます。
参考
・クルーグマンの視座
・良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)
・クルーグマン ミクロ経済学
・http://d.hatena.ne.jp/ryozo18/20090304/1236149536#tb
・http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20090305/1236224627
・http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20090304/p1
・http://d.hatena.ne.jp/pal-9999/20090305/p1
参考 ポール・クルーグマン WIKI
アメリカの経済学者、コラムニスト。1991年にジョン・ベーツ・クラーク賞を受賞し、2008年にはノーベル経済学賞を受賞した。
専門の国際経済学の分野以外でも積極的に発言しており、反ジョージ・W・ブッシュの旗手としても知られる。しかし、2008年の民主党大統領候補指名のキャンペーンでヒラリー・クリントン候補を応援し、オバマ陣営から批判された為、民主党の要職からは外れている。
国際貿易理論に規模による収穫逓増を持ち込み、産業発生の初期条件に差がない国同士で比較優位が生じて、貿易が起きることを上手くモデル化することに成功した。これは、自動車産業など同種の製品を作る産業がアメリカやヨーロッパ、日本にそれぞれ存在して互いに輸出しあっている現実を上手く説明するものであった。
国際貿易理論を国内の産業の分布に当てはめ、地域間の貿易をモデル化し、ハリウッドやデトロイトなど特定の産業が集約した都市が初期の小さな揺らぎから都市として成長して自己組織化しする都市成長のモデルも作り上げた。
また、変動為替相場では、投機家の思惑が自己成就的な相場の変動を作り出し、変動為替相場が本質的に不安定であることを示した。1980年代のバブル不況後の日本の経済を古典派経済学的なモデルを使ってモデル化し、流動性の罠に落ちていることを指摘した。
クルーグマンは非常に簡単な仮定をおいたシンプルなモデルを作ることを得意としており、彼の業績は非常にシンプルなモデルに基づく経済学的考察の上に築かれている。


有難う御座います。
僕も経済学には興味があり、
クルーグマンの「恐慌の罠」
大変気になります(^^
個人的には、デリバティブの
罠に陥った感がある昨今の
経済不安がどこまで回復するのか
また回復プロセスはどうなのか?
情報にアンテナを向けていきたいと
思います。
応援して帰ります凹♪
勉強になりました。有り難う御座います。
<我々、有権者もこういった政治屋さんにNOを突きつけるだけの判断能力をつけなければなりません。> 仰る通りですね。 私も、出来るだけ有用な情報を発信できたらと思っております。